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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2024.06.02Sunday
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「親戚になっちゃうな。」
2021.05.23Sunday
成実+小十郎+蔵六院+左門

片倉家にお子様が生まれました。彼は大層喜んでいる様です。
原点に返って、わかりやすさ重視で書いてみました。

サイト一周年の時のアンケートで、ブログ以外で登場した事もないのに見事1位に輝いた左門(同票で綱もいたけど)、初登場です。
赤ちゃんですが…。
左門はキラッキラの美少年であって欲しい。『昔の物語の主人公』とは、もちろん源氏物語の光源氏の事ですよ♪当時の高貴な人々は、源氏物語(に限らず、古典全般)知ってて当然だったみたいだし、成実も良家のボンボンですからね。教養はあります。
蛙やら蛇やら拾って来てるけど、教養はありま、す…。

政宗様の手紙部分は大分意訳&創作入ってますが、あの手紙は可愛いよねvV
史実とはかなり違うけど、大河の小十郎説得シーン(殿と成実たん、二人がかりだよ)大好きです。
もう何度も色んな処に書いてるからいい加減此処では控えておきますが、あの成実たんはカッコ良過ぎた!あの世界の中では当時18歳のはずの成実たん。
漢っ!!

肝心の小十郎が我が子を殺そうとした理由は、今のところは曖昧に…。
実の処、如何なんですか、景綱さん!?



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片倉家に待望の長男が生まれた。生まれながらにして光を纏うかに錯覚させる、まるで昔の物語の主人公の如く見目麗しい男児だ。
それはそれは心待ちにされた誕生である。
但し、心待ちにしていたのは、父たる片倉小十郎景綱、ではなく、その主の従弟であり、日頃から昵懇の間柄でもある、伊達藤五郎成実、だ。

「成実殿!何故そう毎日毎日我が家へお越しになるのですか!?」
襖の向こうに見慣れた背中を見つけて、小十郎は半ば呆れ気味に声を荒げた。座敷には、その背中の他、妻とその侍女が生後一月足らずの我が子を囲む様に座している。
「ん?何か不満か?こう可愛けりゃ、毎日でも会いたくなるじゃないか。なぁ、左門。」
何を怒っているのだと訴える瞳で振り返る成実。
武勇に名高い異父姉の父から一字貰って、左門と名づけられた赤子は、母の腕に抱かれたまま、成実の指を掴んでキャッキャッと笑う。
我が子を褒められて気分を害する訳はない。が。
「会いたくなるからと日参されては困ります。よりによって、私が不在の時にまで奥へ上がっていらっしゃる。」
「あら、お前様、妬いてくださるの?」
パッと瞳を輝かせながら、妻が顔を上げる。
「そっ!そういう事ではなくて…。」
「大丈夫ですわ。成実様には想い人がいらっしゃるそうだもの。」
「だから、そうではなくて……。」
居心地の悪さに歯噛みしていると、
「何だよ、まだ産み月にもならぬ頃には『生まれて来たらすぐに殺す』とか言ってたくせに!」
「うっ…。」
突如割り入って来た成実の一言に、つい言葉が詰まってしまった。
生まれて来る子はすぐに―――確かにそう考えていた。
それが主君への忠義であり、けじめだと一人密かに思っていたのに、何処から漏れたのか、その企ては主の知る処となり、お叱りの手紙が送られて来た。
『もしも子供を殺す様な事があれば、一生お前を恨んでやるからな。』
慌てて筆を執ったらしい。達筆な彼らしくなく、字が歪んでいたり、文章が纏まっていなかったり、しかしそこから深い優しさがめいいっぱい感じられた。
『今はまだ頼りないかもしれないが、決して悪い様にはしないから、そんな哀しい事は言わないでくれ。生まれ来る命は何よりの宝だろう?』
二人の妹を幼くして亡くした主の、込められた切なる願い。
「俺はさ、監視しに来てんの。もしも左門に手を掛けたりしたら、小十郎をぶっ飛ばして来いって、梵に言われてんの。」
身体ごと此方へ向き直り、人差し指を立てて、得意気な物言い。
『梵』とは、例の手紙の送り主である家督を継いで間もない当主、藤次郎政宗の事である。莫逆の友である成実だけに許された、主の幼名に因んだ呼称だ。
「それは…真(まこと)ですか!?」
「嘘。」
「!!」
嘘が嫌いな成実があっけらかんと即答した。すっかり彼の呼吸に呑まれ、顔を顰(しか)める小十郎。
「けど、事を起こしたら、俺は本当にお前をぶっ飛ばして左門を攫ってくよ?」
鼻先に突きつけられた拳。その言葉に偽りがない事は、曇りなき瞳が語っている。
小十郎は徐に瞬きをして、溜め息を一つ零した。
「御心配には及びませんよ。殿からあの様な書状を頂いて、事を起こせる訳がないでしょう。」
「そりゃ良かった。」
真剣な表情(かお)はあっさりと崩れ、白い歯を添えて彼らしい屈託のない笑顔を見せると、成実はまた赤子をあやし始める。
昔から小さな生き物が好きで、よく野良猫や犬やイタチや、果ては蛙や蛇までも拾って帰っては先代に叱られていた、という話は聞いていたが、弟妹もないのに随分と子供の扱いが上手いものだ。小十郎が感心しながら見守っていると、彼の口からポツリと一言。
「うちに姫が生まれたら良いなぁ。そしたら左門の嫁にやるからな。」
ふくふくとした頬を突(つつ)くその表情は、満面の笑みである。
「ちょっと、何を勝手な事を!」
「悪い話じゃないだろー?そしたら小十郎と親戚になっちゃうな。」
えへへーと、はち切れんばかり楽しそうに笑う。
「姫の前に、貴方はまだ嫁御も迎えていないでしょうが!何年先の話をしとるんですか!?」
「大丈夫だって。うちの両親は二十も歳が離れてるけど、未だに睦まじいぞ?」
「いや、あの、だから……。」
年長の威厳も何処へやら、すっかり成実の掌の上で転がされている。
そういえば、主もその父も他に類を見ない程強引な処が多々ある。この奔放ぶりは伊達家の血流なのだろうか?

こめかみを押さえながら、小十郎は深く深く溜め息を吐いた―――。
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