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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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「お前だけなんだろう?」
2021.08.07Saturday
輝宗+基信+その他のみなさん

ときみなり、2万アクセス突破記念小噺を、ちょぼっと手直し。
『2万』という事で、テーマは『2人』×『ずっと』。
たまには趣向を変えて、いつもと違った『2人』でお送りします。

輝宗・基信主従の出会い。

輝宗さんは基信の連歌好きを買って召し上げた。
これが実際、史料に書かれてるから困る…(●∀´;)
何たるほのぼの主従。
戦となれば、
「皆殺しじゃー!」
「殿ー、お辞めくだされー!!」
なくせに…。(←若干語弊有り)

伊達家の忠臣といえば小十郎景綱、みたいな風潮ですけど、基信はその上を行ってる気がする。
政宗様が止めなきゃ、葬儀の時点で殉死してたんですよね。
でも家主は思うんです。
政宗様は決して
「今死ぬな。100ヶ日まで待ってくれ」
と言いたかった訳ではなく、
「殉死なんかしないで、これからは父上の代わりに俺の力になってくれ」
と言いたかったんじゃないかと…。
基信ったら~履き違え♪(←確信犯)


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「お前だけなんだろう?俺を止められるのは。」
そう言って見せた不敵な笑みが、この瞳に焼きついて離れない―――。

「本当に行かれるのですか?」
渋い表情で息子は問うた。
「大殿はああ見えて、寂しがり屋でいらっしゃるからな。」
遠くを見据えて和らいだ父の顔に、如何やら止めても無駄だと悟ったらしい息子は、俯いて深く嘆息する。
まだ若く頼りない子ではあるが、この機に大きく成長してくれれば―――。そんな願いを込めて、家督は彼に譲ると決めた。
「後は頼んだぞ、文七郎!」
息子に受け継がれたかつての我が名を力強く口にして、父の背中は遠ざかって行った。

「中野が謀反!?」
事を伝えた男が折角人目を憚ってひっそりと囁いたというのに、それを受け取った当主・輝宗はあまりの驚きに、つい大声で鸚鵡返してしまった。その言葉に、周囲もわっとどよめく。
「中野殿が謀反など…いい加減な事を言うでないぞ、内匠(たくみ)!」
「そうだ。中野殿は先代の頃より、良う仕えていらっしゃる忠臣ではないか。冗談も程々にせい。」
あちらこちらから飛び交う駑馬にも男はたじろぐ様子もなく、ただ真っ直ぐに、輝宗の瞳を貫いている。迷いも恐れもない、清流の如く澄みきった眼差しで。
「出陣の支度をせよ!」
「…は?」
上座に御座す発言の主と、その傍で未だ視線を逸らさぬ男を措いて、場に居合わせた恐らく全員が、殿は気でも触れられたかと思っただろう。
誰もすぐに動き出す事が出来ず、室内は一瞬凍てついた。
「聞こえなかったか?出陣の支度をしろと言ってるんだ!」
気の長くない主君の再度の怒声を合図に、蜘蛛の子は忙しくなく散って行く。

―――そして、先代の懐刀たる中野宗時の反乱は未然に防がれたのだった。

「殿!如何いう事ですか!?」
居間に押し掛けて来た重臣達は、揃いも揃って困惑顔。それに継ぐ言葉は、既に輝宗には予想出来ていた。
「何故、遠藤内匠を召し上げたか、だろ?」
口端を吊り上げた主君に、呆気にとられつつも皆一同に首を縦に振る。
「言うまでもない。あれは頭の切れる男だ。俺の右腕として使える、そう思ったから召し上げた。何か文句あるか?」
しゃあしゃあと言ってのけたのは本心であろうが―――。
「しかし、内匠は中野殿の配下だった者です。信用に足る根拠がお有りですか?」
「切れ者だからこそ、謀反を事前に報せたのも、何かの策略やも知れませぬ!」
すると輝宗はすっくと立ち上がり、
「内匠は連歌をこよなく愛する男だ。連歌好きに悪い者はない!」
自信に満ち満ちた表情で言い放ち、襖の奥へと消えて行った。

揺れる木洩れ陽の中に、ひっそりと佇む墓石は、傷も汚れの一つもなく、真新しさを示している。
その前に腰を下ろした男は、其処に眠る主君の姿を想い描いた。
「大殿…まさか、舟の渡しや冥土の門番にまで御迷惑をお掛けしているのではありますまいな。」
日頃は穏やかで我が子を溺愛する主君は、戦となると人が変わった様に鋭く冷酷な武将へと変貌する。
隙あらば近隣諸国へと攻め入り、家中の諫言も無視して皆殺し。
そんな彼が、何故だか、たった一人の男の言葉にだけは、いつも耳を傾けた。遠藤基信―――かつての主君の反逆を密告し、輝宗に取り立てられた彼、だ。
「お前だけなんだろう?俺を止められるのは。」
だったら止めてみろよ。
そう言わんばかりの眼つきで挑発する割には、基信が諌めると、あっさりと刃を収めたものだ。
強がる言動の内に隠された子供染みた本心を、基信は感じ取っていた。
「寂しさを紛らす為に、他人を揉め事に巻き込むなど、言語道断ですぞ、大殿。」
声の返るはずもない墓碑は、しかしまるで感情を持つ様に、影を揺らす。
「今其方へ参ります故、暫しお待ちくだされ。」
手にした短刀は、いつか主から賜ったもの。きっと自分を彼の元へと導いてくれるに違いない。
取りだした懐紙で丁寧に柄を包み、基信は満足気に微笑んだ。

高畠の資福寺跡には、四百年の時を経て現在も尚、二人の墓が遺されている―――。
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