伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2025.11.19Wednesday
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「芋?」
2021.03.28Sunday
政宗+成実+小十郎
伊達家の日常。
かどうかは判りませんが…。
成実に悪気はないんです。
『赤紫の皮、掌に余る歪な形』…所謂『さつまいも』です。
さつまいもが日本に伝わったのは17世紀、戦国期にはまだ無いですね。なんで、『旅の人に貰った』という事で。
政宗様が規則正しい生活してたって記録は晩年の話ですが、若い頃はどうだったんだろう?
きっと戦以外の時はちゃんとしてる、よね?
小十郎、出番がなくて、ゴメンね……。
ふらふらしてる主をほったらかすな!部屋まで送ってやれ!!
伊達家の日常。
かどうかは判りませんが…。
成実に悪気はないんです。
『赤紫の皮、掌に余る歪な形』…所謂『さつまいも』です。
さつまいもが日本に伝わったのは17世紀、戦国期にはまだ無いですね。なんで、『旅の人に貰った』という事で。
政宗様が規則正しい生活してたって記録は晩年の話ですが、若い頃はどうだったんだろう?
きっと戦以外の時はちゃんとしてる、よね?
小十郎、出番がなくて、ゴメンね……。
ふらふらしてる主をほったらかすな!部屋まで送ってやれ!!
障子越しに穏やかな光が射し込む昼下がり。
「うあーっ、終わったぁっ!!」
呻きにも似た絶叫と共に、米沢城主・伊達政宗は背中から畳に倒れ込んだ。投げ出された筆が文机の上をカラカラと転がる。
「御苦労様でした。」
下座に机を並べる参謀・片倉小十郎景綱が、まだ墨も乾かぬ書面に目を通しつつ、労わりの声を掛ける。今回ばかりは、この主も本当によくやったものだ。
ここ半月程溜めに溜めていた政務を、三日で終わらせなければ逐電する。
真顔で言い放った一昨日の朝、主の事だから、きっと拗ねて「とっとと出て行け!」とでも言うかと思いきや、意外にも自ら執務室に籠もり、筆を執った。
そして、寝る間も惜しんで、二日と半日で課題を成し遂げたのである。
そもそもは己が溜めた仕事であるから、そのツケが回って来るのも自業自得なのだが、これ以上ツケを増やさせない為の決死の逐電発言は、その真意を知ってか知らずか、予想以上に功を奏した訳だ。
それだけ必要とされているのだと思うととても嬉しくなったが、だからと言って甘やかしておく訳にはいかない。
公私混同するべからず。
亡き先代に代わって自分がしっかりと手綱を握っておかねば、歳若い主はいつ暴走するか知れたものではない――。
「うー…眠い……。」
「どうぞお寝み下さい。夕餉の頃に起こしに参ります故。」
政宗は見かけによらず、平時においては規則正しい生活を送っている。この度の二夜に渡る徹夜が如何に堪えたかは、全身から滲み出ていた。
「ああ、寝る。お前も寝ろ。付き合わされて疲れただろう。」
クマと充血の酷い眼を擦り、他に誰も来ないからと外していた眼帯を手にする。
「俺が寝てる間に出て行ったら、許さねぇからな。」
疲れていても衰えぬ眼光で釘を刺して、ふらふらと覚束無い足取りで寝室へ向かう政宗。どうやらあの発言は相当重く受け取られてしまったらしい。
「出奔など出来ようはずもないでしょう。亡き大殿に返せなかった恩義を貴方に返さねば、この小十郎、死んでも死にきれませぬ。」
主の背中には届いていないと知りつつ、小十郎はポツリと独り言ちた。
途中、幾度か柱に体当たりしながらも、どうにか控の間まで辿り着いた処で、政宗はギョッとした。
その先にある寝室の襖を塞ぐ様に、人が転がっている。
それは見紛うはずもない―――。
「おい、時宗。邪魔だ、退け!」
いきなり鳩尾(みぞおち)に蹴りを入れると、『時宗』と呼ばれたその物体―――一つ年少の従弟・藤五郎成実は「ぐぇっ!」と蛙が潰れた様な声を上げて飛び起きた。
「お前、他人(ひと)の部屋の前で何してやがる?つーか、なんで此処にいる!?呼んだ覚えはねーぞ。」
「うん。呼ばれた覚えもない。」
「だったら自分ちへ帰れ。」
「待ってた。」
ごそごそと懐を探り、取り出した物は―――。
「芋?」
赤紫の皮、掌に余る歪な形、初めて見たがおそらく芋の仲間であろう。
「旅の人に貰ったんだぁ。食ってみたら美味かったから、梵にもやろうと思って。」
人懐こい笑顔を振り撒きながら、食べている時が一番幸せ、底無し胃袋を持つ従弟が芋を真っ二つに割る。
少し焦げた皮の内側は蜜を擁した黄金色で、ホクホクと甘い匂いを漂わせ、目にも鼻にもその味が愉しめた。
差し出された半身を受け取ると、芋は人肌に温まっていて、少し残念な気持ちになる。
きっと大森で作って、馬を駆って来たのだろう。懐に入れていたのだから、アツアツでない事は想像出来ていたが…。
「お前の体温だと思うと、気持ち悪いぜ…。」
「あ!ひどっ!!」
一口食むと、空腹だったせいも手伝って、なんとも甘美な味がした。
しかし、その甘味を噛み締めている内に、ある事に気がついてしまった。
「時、お前…。」
「ん?」
「お前……俺がぶっ通しで仕事してる間に、芋焼いて、他人んちで爆睡してやがったのかあぁぁーっ!!?」
政宗の右手に握られた焼き芋が、一瞬にして砕け散った。それを目の当たりにして、芋を詰め込んだ成実の頬に冷や汗、一筋―――。
その後、数日間、成実が人前に姿を現す事はなかった――――――。
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伊達成実・伊達綱宗・大崎義宣をこよなく愛する京都人です。
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【3】メールアドレス toki716zane@yahoo.co.jp (件名に『716日より』と入力お願いします)
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