伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2025.11.19Wednesday
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「お前にやる。」
2021.03.28Sunday
成実+実元+母+嫁
父から息子へ受け継がれるもの。
『母+嫁』って…だって、名前の記録が無いんだもの!
実元さん、初めてまともに登場したのがこんな話で申し訳(●△´;)
ザネたんは短い時間しか一緒に過ごせなかったけど、父上を尊敬しております。
ザネたんは仲良しな両親を見て育ったので(本当に小さい時の話ですが)、自分も嫁を大事にします。それが当たり前だと思ってる。
迎えた時まだ14歳だった嫁が、可愛くて仕方ないのですねvV
あまり長くは一緒にいられない二人ですが、約10年、めいいっぱい幸せであれば良いよ!!(*●Д;*)
成実の出奔は、この人を亡くして自暴自棄になった…だったりして。(ゴメン、冗談です!)
死ネタ注意!
父から息子へ受け継がれるもの。
『母+嫁』って…だって、名前の記録が無いんだもの!
実元さん、初めてまともに登場したのがこんな話で申し訳(●△´;)
ザネたんは短い時間しか一緒に過ごせなかったけど、父上を尊敬しております。
ザネたんは仲良しな両親を見て育ったので(本当に小さい時の話ですが)、自分も嫁を大事にします。それが当たり前だと思ってる。
迎えた時まだ14歳だった嫁が、可愛くて仕方ないのですねvV
あまり長くは一緒にいられない二人ですが、約10年、めいいっぱい幸せであれば良いよ!!(*●Д;*)
成実の出奔は、この人を亡くして自暴自棄になった…だったりして。(ゴメン、冗談です!)
死ネタ注意!
なんとなく嫌な予感がしたんだ。
けれど、それを口にしてはいけない気がした。
だって、『言霊』って言うじゃないか。
口にしたら、真実になってしまいそうだったから―――。
父からの書状に呼ばれ、久々の八丁目を訪れた。
居城の二本松からさしたる距離ではないが、父の隠居先をそうそう訪ねるものではない。
急を要する。という事は、文面を読まずとも充分に伝わって来た。父の名で書かれた書状は、署名こそ父の筆であったが、文面は母の手によるもの―――ろくに筆を執る事も出来ない、というのだろう。
支度もせずに、たった一人の傅役だけを供にして、城を飛び出した。
八丁目に近づくにつれ空模様は怪しくなり、どんよりと立ち込めた暗雲が不安を掻き立てる。
門をくぐると、待ち構えた様に名を呼ばれた。
「成実っ、早く!」
体当たりする勢いで迫って来る、小柄な母。
「早くっ!早く早く早くっ!!」
馬を預ける暇さえ与えるものかと、相変わらずの強固な握力で我が袖を引き、着物の裾をものともせずに駆け出す。流石、幼い頃から親戚中に『じゃじゃ馬』と呼ばれただけはある。
崩れそうな態勢を如何にか保ちつつ、傅役に馬を頼み、その華奢な身体の何処からこんな馬鹿力が湧いて出るのか、母を俯瞰する。
「母上!そんなに容体が悪いのですか!?」
「とにかく急いで!!」
袖を掴まれたまま、家人の挨拶に応える間もなく、ついに父の寝室へと飛び込んだ。
半年程前から体調を崩しているとは聞いていた。だが、父は見舞いを嫌うので、床に臥せる彼と対面するのはこれが初めてであった。
ある程度、想像を巡らしてはいたものの、いざその姿を目の当たりにすると、肩を落とさざるを得なかった。
横になり、ぼんやりと天井を見つめる父はあまりに弱々しく、頬も痩けて、かつての勇壮ぶりは微塵も感じられない。
「父上。成実に御座います。」
粛々と声を掛けると、虚ろな瞳が暫く宙を彷徨った末、漸く視線がかち合った。
「ああ…成実か。久しいな。」
ゆっくりと紡ぎ出される、力無く乾いた声。
「元気だったか?」
「御覧の通りで。」
「そうか…。」
言葉を発する度、深く息を吐く父。
予感が次第に確信へと向かっていく。
――――――。
しばしの沈黙の後、父が徐に床の間を指した。
「そこに刀が掛けてあろう。それを取ってくれ。」
その言葉に従い、手にした大刀を渡そうとしたが、父は受け取る素振りを見せない。
「父上?」
「宇佐美長光―――儂が上杉家へ養子に行きそびれた際、賜った物だ。」
眼を閉じ、一呼吸おいて。
「お前にやる。」
「へっ!?」
唐突な申し出に、つい間抜けな声が出た。
「そんな大事な物を、この成実に?」
「大事な物だからこそ、お前以外誰にやるんだ?」
欲しい物は自分で手に入れろ。それが父の常の訓えだった。
腹が減ったら山へ入って木の実をもぎ、川へ出て魚を獲れ。城が欲しくば実力で落とせ。名が欲しくばその腕で勝ち取れ。
いつでもそんな訓えを胸に生きて来た二十年。父から与えられたものは数知れないが、彼自身の想い出が詰まった『物』を賜わるのは初めての事だ。
「武勇の誉れ高い成実に使われれば、刀も本望であろう。」
そして父の手は、革の手袋に包まれた我が右手へと伸びて来た。
「大切にせぇよ、その精神(こころ)を。刀も、家臣も…嫁もな。」
刹那、隣でずっと黙って唇を噛んでいた母が、両手で顔を覆って泣き出した。
「父上。それじゃあ別れの挨拶みたいじゃないですか。気の早い事を…。」
「気休めを言うな、お前らしくもない。儂の事は自身が一番ようわかっておる。
―――二人共、達者で居れよ。」
そこまで告げると、父はしめやかに瞼を下ろし、長く息を吐いた。
部屋の中に母の嗚咽だけが響いていた―――。
夕暮れ方、一刻程前から続く激しい雷雨に遮られ、夕焼けも月も無い暗がりの廊下の隅に、蹲(うずくま)る一つの人影。
両膝に顔を埋め、二の腕を掴む指先に力が籠る。
「藤五郎様。」
柔らかな声と共に現れたのは、まだ幼さの残るあどけない少女、昨年迎えたばかりの成実の正室だ。
「十波(となみ)…来てたのか。」
潤む眼を擦って問い掛けると、
「遅くなりまして。」
短く挨拶し、隣に寄り添う様に腰を下ろした。
お互い続く言葉は出て来ない。
――――――。
沈黙のまま、どれ程が経ったろうか。
「情けない…と思うだろ?いい歳して、メソメソしてるなんて。」
先に口を開いたのは成実の方。
震える唇を噛み、伏せた瞳には、今にも零れそうに涙が溜まっている。
「何にも…何にも出来ずに……親不孝だな、俺…。」
声が上擦り、語尾が掠れる。
すると。
「いいえ!」
叱咤する様に鋭い声を放つと、十波は項垂れる成実の懐に滑り込み、長い睫毛に彩られた大きな瞳でその顔を仰いだ。
「藤五郎様が功を挙げ、皆々様のお褒めに与(あずか)るのを、義父上様は誇らしく思っておいでです!武家の男(おのこ)にとって、それは何よりの親孝行でありましょう。それに…。」
彼女の細い指が一粒の雫をすくう。
「こうして誰かの為に泣けるのは、貴方様がお優しい証に御座います。情けなくなどありませぬ。
人を人とも思わぬ輩が罪なき人々を踏み躙る世の中、十波は立派な殿方に嫁いだと、誉れ高う御座います。」
その瞳はとても曇りなく純粋で、五つも年少だというのに、母の如き強さに満ちていた。
「お泣き下さいませ。十波は如何なる時もお傍に控え、藤五郎様の縁(よすが)となりとう御座います。」
そう言って我が身を包んだ鴇色の袖。
心地好い感触に縋り、雨音に紛れて、成実は泣いた―――。
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遥瀬ねこたろう
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伊達成実・伊達綱宗・大崎義宣をこよなく愛する京都人です。
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