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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2024.05.18Saturday
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「縁起物かよ…。」
2021.05.29Saturday
成実+五郎八+政宗

2014/04/04、ときみなり5周年記念(←サイトでの元の投稿日)
『5周年』という事で、テーマは『五郎』です(●∀´*)

殿の御子様達にとって、成実は第二の父であり、頼れる兄である。
と、家主は考えております。
実父はある意味遠い存在の藩主なので、些細な悩みは成実に相談していれば良いよね♪

それにしても、殿が長男・長女に『五郎』と名づけた真意を知りたい…。
そこに果たして『藤五郎』の存在はあったのだろうか?


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「ねぇ、安房殿、ちょっと聞いてくださる!?」
細い指で力強く袂を引いたのは、藩主――政宗の長女だった。
眉間には深い皺、わなわなと肩を震わせ、全身から怒りが滲み出ている。
「如何したんだ、姫?随分と御機嫌斜めじゃないか。」
やんわりと成実が尋ねると、姫は間髪入れずに、
「妹が生まれたの!」
と答えた。
勿論、成実も知っているし、半刻前には親馬鹿藩主にその妹を自慢気に見せつけられて来た処だ。
「うん、そうだね。おめでとう。」
「父上は私より妹の方が大事なんだわ。」
畳み掛ける様に言葉を重ねる姫。二年前に嫁いだとはいえ、まだまだ子供だ。ませた口振りも微笑ましい。
「そうか。父上が妹姫に掛かりっきりで、折角里帰りしたのに、構って貰えないのが気に入らないのか?」
すると姫はふるふると首を横に振る。
「違うの。小さい子の方が可愛いのは当然だし、私も可愛いと思う。
 でもね、父上は妹に『牟宇』と名づけたのよ!」
語尾に強い怒りが込められた意味が、成実には理解出来なかった。『牟宇』の何が悪いのか――――更に姫は続ける。
「私は『ごろはち』なのに!!」
と。
一の姫の名は『五郎八』と書いて『いろは』と読む。美しい名だとは思うが、字面については流石に疑問を抱かずにはいられない。
何故そんな字を当てたのか。彼女が生まれて間もない頃、政宗に直接尋ねた事がある。
彼の答えは、
「男児が生まれて欲しかったんだ。」
正室腹の嫡子が欲しいのは皆同じ。気持ちはわかる。だが、側室腹の長男――兵五郎に続き、何故その名なのか。
「『五郎』とつければ、お前の様に健やかで武勇に秀でた子に育つかと思ってな。名案だろ、藤五郎?」
ニヤリと口端を上げた政宗のしたり顔。自身でも、父や祖父でもなく、よりによって従弟の名を我が子に冠するとは――――。
「俺は縁起物かよ…。」
これまで政宗に生まれた八人の子は、五郎八を除いて皆男児だった為、彼女も父の気持ちを汲んで、自身を納得させて来たのだろう。
しかし、此処に来て女児が生まれ、愛らしい名を授かった。怒るのも無理はない。
「私だって、女子(おなご)らしい名前が欲しかったわ……。」
勝気な姫がうっすらと瞳を滲ませる。こういう場面は苦手だ。
「まぁまぁ…五郎同士、仲良くしようじゃないか。」

それから後、三女――岑、四女――千菊と妹が生まれる度、成実の元に五郎八からの怒りの文が届いた――――かもしれない。
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