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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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「とんだ正月だ…。」
2021.05.24Monday
成実+淡路+その他のみなさん

人取橋が一応の終戦、ホッとした処に渋川城の火災、その後迎えたお正月は、とてもおめでたいムードではなく…。
成実苦難の正月物語。まぁ、実際には本人が直接出て行くなんて事はないでしょうけど…。

元旦から、二本松もやってくれるよね。
ザネたんの火傷の事、二本松側は知ってたんだろうか?
実は渋川炎上の原因となった近習が二本松の間者だったって説は考えられないだろうか?うちの子は違うけど。

なにはともあれ、とんだ正月ですね。
お正月話を書こうと思った時に、そう言えば…と一番に浮かんで来たこのエピソード。
めっちゃ政宗記を読み返しました。
ザネたんは自分の事をあまり詳しく書いてくれないので、これだけじゃ不十分だなぁと思いました。
二本松側の史料とか、あるのかな?



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「うううー…うう。」
傍らに蹲る主の呻き声を聴きながら、今に始まった事ではないので暫く放置していたが、ついに見かねて淡路は声を掛けた。
「痛むのですか、成実様?」
「痒い!いっそ皮を剥ぎたいくらい、痒いっ!!」
一月近く前になろうか、逗留中の城が焼け落ちた際、彼は背中から右腕にかけて、酷い火傷を負った。その一部が治りかけ、痛みが痒みに変わりつつあるらしい。かといって、掻き毟る訳にもいかないもどかしさに、ここ数日、彼は人払いをして、仮屋程度に拵えた陣屋の一室に籠っては、こうして呻き声を上げている。
「暫くの我慢ですよ。痒いのは快方に向かっている証に御座います。」
「とんだ正月だ…。」
確かに。
大きな戦を終えて、敵情を窺いながらの越年。その上この怪我では、気も滅入ろうというもの。
とりあえずは、ゆっくりと休ませて―――と思案していた時だった。
「殿ーっ!敵襲です!!」
不幸は重なるものか、その声に慌てて廊下へ飛び出すと、伝令が駆けて来た。
「少数の斥候と油断した模様。陰から現れた二本松勢に苦戦しております!」
「正月惚けしてる場合じゃないぞ!誰か、俺の具足を持て!」
「成実様。出陣なさるおつもりか?」
「当たり前だ。こんな時に、のんびり寝てられるか!」
すっかり燃え上がってしまっている主を宥めても無駄。長年寄り添って来た傅役は、口を挟むのを辞めた。具足を着ればわかる、と。
籠手を身に着けた刹那、
「いっ!!!」
一声発して飲み込んだが、その続きは聞かずとも明らかだ。包帯も取れない身に、締めつける上に重い具足など―――。
「おわかりになりましたか、成実様?出陣なされても、足手纏いになるばかりです。此処は大人しく養生召されよ。」
手厳しい傅役の言に、まだ若い主は強がりがありありと浮かんだ瞳で、半ば自棄糞に投げつけた。
「こんな事で負けて堪るかーっ!!」

数刻後、怪我を圧して自ら薙刀を振るった大将に、士気高まる家中の将達の活躍もあり、味方三十余りの犠牲の下、三百を超える首級を取って敵軍を退け、見事白星を飾った成実部隊。
―――が。
「雪の中で転げてみれば、冷えて、一時的にでも痛み痒みがひくのでは?」
「そんな事したら、痛み痒みの前に風邪ひくわ!」
成実にとって、安寧の日々への道程はまだまだ遠く険しい様である―――。
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