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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2024.05.18Saturday
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「立派な鹿を」
2021.05.24Monday
政宗+成実+忠宗+喝食丸

息子を自慢したい親馬鹿政宗様。
忠宗初登場です。

親馬鹿な政宗様、好きだよ。

忠宗と成実の遣り取りが一番悩むところです。
政宗様存命中って、どっちが上の立場になるんだろう?
喝食丸の場合は、まだ子供だとかやんちゃな性格だとかで、堅苦しくなくても良い気がするけど、忠宗は真面目なイメージなんですよね…。



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「鹿猟に出るから、お前も来ないか?」
そんな文に誘われて、主君の猟場を訪れた。
そもそも断る理由はないが、是非に是非にと重ねられていたものだから、何事か裏に隠された真意を勘繰りもしたが、何れにせよ、悪い事ではないだろうと結論づけた末に、いざ足を踏み入れてみれば、なるほどそういう事かと、成実は苦笑する。
「おう、よく来たな。」
あれ程しつこく誘いを掛けておきながら、知らぬ風を吹かす主は、狩装束を纏ってはいるものの、鉄砲に触れる様子もなく、床几に掛けたまま立ち上がろうともしない。
代わりに、その視線の先で鉄砲を手にしているのは、まだ幼い彼の九男で、傍らで熱心に指導するのは、同じく次男だ。
「この親馬鹿め。可愛い我が子の勇姿を見せる為に、わざわざ呼びつけたか。」
「まぁ、そう言うな。お前だって、うちの子を我が子同然に可愛がってるじゃないか。
 今やあいつ等が戦で功を挙げる事はないんだからな。これが初陣と思って、見守っておれ。」
「で、お前は傍観か?」
「忠宗は鉄砲の名手だからな。俺が口を挟むまでもない。お前の処の萱場にも劣らぬぞ!」
「はいはい…。」
流石に、実戦で鳴らした鉄砲大将には敵わないだろうとは思ったが、そこは主の顔を立ててやる事にしよう。
と、其処へ、話題の中心の二人が駆け寄って来た。
「安房殿、いらしてたのか。御挨拶が遅れて。」
「いや、此方こそ。熱心な授業中だったから、黙ってた。」
「安房殿も鹿を獲るのか?」
「今日は喝食丸の活躍を見に来たんだ。」
その言葉に、弟は破顔し、兄は、
「安房殿に立派な鹿を差し上げないとな」
と、弟の頭を撫でる。
「―――俺にはくれないのかな?」
離れていく兄弟の背を見送る父の物悲しげな呟きに、成実は声を殺してくつくつと笑った。

その後、喝食丸は見事一頭の鹿を仕留めて戻り、
「わざわざ遠出させたからにはな。」
と、涙を飲んだ政宗の計らいにより、目出度く成実の土産となったのだった―――。
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