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伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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「夏風邪は馬鹿がひく」
2021.05.23Sunday
梵天丸+時宗丸+綱元+淡路

風邪っぴき時宗と薄情(ゆかい)な仲間達。
シリアス率が高いので、小噺書きたいなーと思って書きました。

やっと!やっと綱が動き出したよ、長かったね!!
でも、彼は喋らないので、出て来てもいるのかいないのか…小説よりも漫画向きだ。

『風邪』って、当時はなんて呼ばれてたんだろう?風邪とインフルとその他の流行病をちゃんと見分けてたのかな?

関東では葱といえば『白葱』なんですよね。
関西では『青葱』だよ。
家主は青葱の方が好きだ!白の方が絵になるけど…。



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「っくしゅっ!うー…。」
もう数えるのも飽き飽きする程の連続くしゃみにすっかり疲れて、時宗丸は唸り声を上げた。
ズルズルと鼻を鳴らしながら枕元の懐紙に手を伸ばすと、先刻は山の様に積まれていたのに、いつの間にやら丘陵になっている。
「んう゛ー…寒い……。」
日頃、健康だけが取り柄の時宗丸が、珍しく体調を崩した。所謂『風邪』である。
「馬鹿は風邪ひかないって言うのにな。」
見舞いに訪れた一つ年長の従兄・梵天丸がいつも通りの無遠慮な言葉を掛けると、
「夏風邪は馬鹿がひく、とも言いますが…。」
傍らで、滅多に口を開かない家中随一の謎の男・鬼庭綱元が鋭い矢を放って来た。
「綱…真顔で言うなよ……ケフッ!」
元はといえば己の不注意が原因とはいえ、流石に泣きたくなった。

昨日は梵天丸と共に川遊びに興じていた。
鮎を釣ろうという名目だったが、対岸に美味そうな木苺の群生しているのを発見し、時宗丸は川を渡ろうとした。
その途中、足を滑らせ、全身余す処なくびしょ濡れになってしまったのだが、「ちゃんと身体を拭いて着替えないと風邪を召されますよ」と案ずる傅役等の言葉を聞き流して、濡れたまま遊び呆け、その結果がこの現状だ。

「お前は馬鹿のふりして、裏ではよく考えてる奴だと思ってたが、ホントにただの馬鹿だったんだな。」
「今だけで良いからさ、ケホッ!も…ちと優し、ゴホッ!してくんないかな?…ケホッケフッ!!悲しくなるからさ…。」
「さぁさ、御二方、感染っては立つ瀬がないので、そろそろお帰りになられた方が。」
傅役に促され、見舞い衆は席を立った。
襖の手前ではたと足を止め、綱元が振り返る。懐から取り出されたのは、何処から如何見ても、葱、だった。
「葱は風邪に効くと言いますので。」
短く伝えて彼が去った後、
「これ、生食?」
「…でしょうか?」
恐る恐るかじってみると、意外にも甘味があった。
が、一瞬おいて―――。
「か、辛っ!!」
非情なる辛味が遅参したのである。

半刻後、思い出した様に綱元から届けられた書状には、
「火を通して食べる様に。生では辛味が強いので。」
と、短く綴られていた―――。
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