「ずっといる」 2021.05.23Sunday

時宗丸＋淡路

ときみなりアクセス1万突破記念に書いた、ポエム並みの超短編です。
『万』という事で、テーマは『ずっと』。
ほんのちょっとの間だけ、拍手御礼にも使用してました。

淡路目線の一人語り。
淡路が大好きな時宗と、時宗が大好きな淡路。
これでもかってくらい付き合いの長い二人ですから、もう本当の兄弟とか、親子な気分だったかもね。
家主は淡路にじゃれつく時宗、という構図が大好きですvV

「淡路はずっと傍にいてくれるよな？」
胡坐を掻いた膝の上にごろりと頭を預け、幼い主は問うた。
「さぁ、如何でしょうな。」
曲げたり伸ばしたり引っ張ったり…我が指をすっかり玩具と化する主の遊戯につきあいながら、いつもの調子で答えると、彼はぷぅと頬を膨らませて、腕を伸ばす。
「意地悪。其処は『ずっといる』て答えるもんだぞ。」
そんな悪い事を言うのはこの口か、といつも自分が彼にする様に頬を抓って来るので、お返しとばかり、きめ細かく柔らかい頬を軽く叩くと、派手な音を立てて風船が割れた。
「先の事はわかりませんのでな。時宗様が大人になられるまでは、お傍におりましょう。」
逆さまの顔を覗き込んでにっこり笑うと、主は眉根を寄せて呟いた。
「じゃあ、時は大人になんかなりたくない。ずっと子供で良い。」
そうして視線を逸らす。

口が悪くても、無礼でも、いつも背伸びばかりして強がっていても、たまに見せるその甘えたな処が愛おしくて仕方ないから、此処に居座ってしまったんですよ。

とは口に出さずに、この胸の中にしまっておこう。
自分もなかなかに強がりなようである。