伊達好きねこたの歴史関連や創作物についての呟き処+創作小説置き場(もちろんフィクション)です。
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2025.11.20Thursday
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「まだ生きていける。」
2021.04.17Saturday
成実+十波+政宗
十波の旅立ちのお話。
死ネタ注意!
子供の頃から成実が大好きで、時兄様のお嫁になりたいと夢見続けた十波。
年少で小柄な十波が可愛くて可愛くて仕方ない成実。
周りが羨む仲良し夫婦。
結婚して9年、その間に父を亡くし、母を亡くし、一人娘も亡くし、あっちでもこっちでも戦戦で、慌ただしい日々だったに違いない。
運命って意地悪ですね。
なんでもうちょっと、亘理御前を長生きさせてくれなかったんだろう、神様。
生まれ変わって、また出会って、今度こそ末永く幸せでいる事を願っております。
家主はこの夫婦、大好きvV
あ、『卑しいな』ていうのは、食い意地が張ってるって意味ですよ!性格じゃないですよ!!
十波の旅立ちのお話。
死ネタ注意!
子供の頃から成実が大好きで、時兄様のお嫁になりたいと夢見続けた十波。
年少で小柄な十波が可愛くて可愛くて仕方ない成実。
周りが羨む仲良し夫婦。
結婚して9年、その間に父を亡くし、母を亡くし、一人娘も亡くし、あっちでもこっちでも戦戦で、慌ただしい日々だったに違いない。
運命って意地悪ですね。
なんでもうちょっと、亘理御前を長生きさせてくれなかったんだろう、神様。
生まれ変わって、また出会って、今度こそ末永く幸せでいる事を願っております。
家主はこの夫婦、大好きvV
あ、『卑しいな』ていうのは、食い意地が張ってるって意味ですよ!性格じゃないですよ!!
未の刻。
外はまだ陽が高いというのに、障子の内には暗く重い気が立ち込めていた。
部屋の中央に敷かれた床に横たわる女子(おなご)は、浅く弱々しい呼吸を繰り返すばかり。たまに瞼を痙攣させ、呼び掛ければ唇を動かす素振りなど見せていたが、次第に反応は薄くなり、握った手の力も衰えていく。
もう長くはない事は明白だった。
人の死には何度も立ち会っている。医者でなくとも見当はつく。
しかし。
幾度経験したとて、決して慣れる事のない、この痛み。ましてや、今目の前で旅立とうとしているのは、結ばれるよりずっと前から妹の様に可愛がって来た、最愛の妻である。
叶うなら。
もしも、願いが叶うなら。
たった一つで良い。彼女を連れて行かないで―――!
ふと蝉の声が止んだ。
伏見の暑い夏が温度をなくした。
包み込んだ小さな手が急に重くなった気がした―――。
少しずつ冷めていく指先は、擦ってみても、屈伸しても、この手を握り返す事はない。
「十波…。」
数え切れぬ程呼んだ名も、虚しく空(くう)に消えた。
「お前は…幸せだったか?」
右手を覆う手袋を外し、青白い頬に触れる。
「お前は今でも、俺に嫁いだ事を誇りだと言ってくれるか?」
醜く歪んだ火傷の右手。不気味なこの手を彼女は怖がる事なく、触れる事を厭わなかった。
「俺は言えるよ。お前と過ごした十年足らず、戦ばかりだったけど…幸せだったよ。」
数多の苦労を掛けた。
寂しい想いをさせた。
それでも、帰館すればいつも笑顔で飛びついて来る、小さな御前(ごぜん)。
幼い頃から、ただただ一途に自分を想い続けてくれた彼女に、一度も口にしなかった素直な気持ちを届けたい。
もう聴こえないと知りながら、耳元でそっと一言、囁いた―――。
「おはよ。」
突然投げ掛けられた声に、政宗はギョッとして振り向いた。
起き抜けの一服ついでに少し身体を動かして来た帰り、通り掛かった其処は厨の前で、思いもよらない声だったのだ。
「時…何してんだ、そんな処で。」
「腹が減ったから…つまみ食い?」
行儀悪く指先に残った米粒を舐めながら、カラカラと笑う様は、まるで意想外だった。
情に脆いこの従弟の事、きっと今頃は人を遠ざけて部屋に籠っているだろうから、文でも遣わそうかと思っていたところだ。まさか、こんなに晴れやかでいようとは。
「―――相変わらず卑しいな。少しはしおらしく休んでいれば良いものを。」
「そうはいかない!俺がしゃんとしないと、部下に示しがつかないだろ。」
「お前らしくない言い分だな。人望の塊のくせに。」
無理しなくて良い。成実と十波の睦まじさは周知の事。家中の誰もが今、彼の傷に触れまいと気を巡らしている。
「だってさー。」
瞳を細め、遠く視線を投げる。
「十波はきっと、あの空の彼方から俺を見てる。部屋に閉じ籠ってちゃ見えないだろ?」
手を振ったら見えるかなー、と明後日の方に向かって軽く手を振る姿に、温かい溜め息が漏れた。
「まぁ良い。出て来たなら全力で働け。」
自分より三寸ばかし長身の従弟の頭をくしゃくしゃと掻き回し、煙管を振りながら、政宗は去って行った。
「心配…してくれてたんだろ?わかってるよ。」
その背中を眼で追いながら、独り言つ。
「大丈夫。俺はまだ生きていける。」
独りぼっちではない。大切な仲間、家臣、そして、あの主がいるのだから。
「俺がそっちに行くまで、見守っててくれよな、十波。」
これが最後の一滴(ひとしずく)。
空を仰いだ頬を伝った―――。
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遥瀬ねこたろう
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伊達成実・伊達綱宗・大崎義宣をこよなく愛する京都人です。
ご連絡は以下の3つの方法にて承っております。
【1】記事のコメント(本文以外未入力可。家主が承認後公開設定。『非公開で』とお書き添え頂ければ公開致しません)
【2】拍手コメント(非公開)
【3】メールアドレス toki716zane@yahoo.co.jp (件名に『716日より』と入力お願いします)
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